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表面実装部品キットにチャレンジ

あなたにもできるチップ部品の半田付けとソフトウェア・ラジオの組み立て

 

 

200612月号のCQ誌に基板付録付のソフトウェア・ラジオ)の記事が掲載され、実際に製作された方も多くいらっしゃると思いますが、作者の三浦さんが今度は、表面実装部品をメインとした、DDS搭載で0.5MHz70MHzを受信可能なソフトウェア・ラジオ・キットSoft66ADHをリリースされています。

表面実装部品てんこ盛りのキットというのはどういうものか、実際の組み立てにチャレンジしてみましたのでレポートします。コツがわかれば思っていたほど難易度は高くないと思いますので、皆さんも是非チャレンジされてはいかがでしょうか。

 

道具の準備

 キットを注文して、届くまでの数日間わくわくしながら、道具の準備をします。私が実際に使用した道具類は写真1 と写真 2の通りです。

 まずは半田こてですが、左から18W, 30W, 60Wのこてが並んでいます。18Wのこてではパワーが足りず、30Wでもグラウンド部分では力不足を感じたので、写真3のように秋月電子のトライアック万能調光器キットを利用した調温器を急遽作成して60Wのこてを半田付けしやすい温度に設定して使用しました。

次にピンセットですが、HOZANP-876という先のとがったものと、P-89という逆作用(握ると先が開く)タイプの2種類を用意しましたが、実際に使ってみると、先のとがったピンセットの方が格段に使いやすく、こちらばかりを使うことになりました。

それと、拡大鏡は必須アイテムのひとつになります。私は老眼になり始めていて、肉眼では、通常のセラミックコンデンサーの文字を読むのが非常につらくなってきました。そこで、写真4の拡大鏡(ヘッドルーペ)を購入しました。レンズの組み合わせにより、倍率も1.8×、2.3×、3.7×、4.8×と4段階に変えられるので、チェックのときは倍率を高く、半田付けのときは低めにセットするなど用途に応じて倍率が変えられるので非常にFBです。虫眼鏡では片手がふさがってしまいますが、これを使うことで、両手が自由に使えるようになり、作業が格段にしやすくなります。

半田は、写真にある低温半田を使用しています。無鉛半田は融点が高いので使いづらいようです。低温の細いタイプがあればそちらの方が作業しやすいと思われます。今回使用したのは1.2mmの太さです。フラックスは無洗浄タイプの刷毛で塗るタイプを使いました。フラックスは失敗を減らすことと、綺麗に仕上げるためにケチらず使いたいものです。

0.65mmピッチのICの半田付けの際に、半田吸い取り線を使います。なるべく細い方が作業をしやすいですので、細いタイプを選んでください。今回は0.9mmの物を使いました。

私が使用している道具を参考として表1にまとめました。

 

写真1 作業に使用した半田こて 新規に購入する場合は調温機能付きがお勧め

 

写真2 ピンセットは先のとがったしっかりしたのもが使いやすい

 

写真 3急遽作成したトライアック調温器。手持ちの大容量半田こてを使う場合に便利

 

写真4 ヘッドルーペ 両手が自由に使えるので作業効率が格段にアップ

 

種類

メーカー/仕様など

入手先

半田こて

18W, 30W, 60W

昔から使用しているもの

ピンセット

HOZAN P-876, P-89

Monotaro http://www.monotaro.com/

拡大鏡

ノーブランド/LP-23U

Monotaro http://www.monotaro.com/

半田

HISATOMI低温はんだ/ SH-43

千石通商

半田吸い取り線

HOZAN NO.3736

Monotaro http://www.monotaro.com/

フラックス

Goot 無洗浄RMAタイプフラックス/ BS-75B

千石通商

1:道具と入手先一覧

 

部品の確認と作業の準備

写真5が部品一式となります。部品番号リストと共にチップ部品が貼り付けられています。部品には何も書かれていないチップ部品が多数ありますので、部品をはんだ付けする直前まではがさないようにします。製作説明のWebページに部品配置図がありますので、それをプリントアウトしておきます。基板上のシルク印刷は混み合っているので、正しい位置に部品をつけるために、あらかじめ印刷した部品配置図に色をつけて位置を確認しておきます。(写真6)実際、基板に印刷されている部品番号の位置が部品から離れていたり、狭いスペースにある部品番号の表示がランドの上にあったり、下にあったりと位置がわかりにくいものもありますので、部品の半田付けを開始する前にこの作業をすることをお勧めします。半田付けしてしまうとチップ部品の容量などがわからなくなり修復困難な状況に陥ります。

写真5:部品一式 リストの紙に部品が貼り付けられている。大きな部品は別の袋に入っている。

 

写真6:部品配置図 部品番号と部品配置のペアをまるで囲み位置を明確にしておく。

 

部品の半田付け

いよいよ半田付けに入ります。半田付けの順序は、TSSOP部品-> SOP部品->チップ部品(コンデンサ、抵抗、コイル類)、小型部品のハンダ付け-> OSC-> miniUSBコネクタ-> SMAジャック、3.5φジャック、大型コンデンサ他の部品の順序で半田付けしてゆきます。

 

TSSOPSOP部品の半田付け

TSSOPICはピンが0.65mmのピッチと非常に狭くなっています。(写真7)今回は三浦さん推奨のセロテープ固定法で行いました。こては30Wの物を使いました。TSSOP部品に細くきったセロテープをつけ基板の上におきます。納得が行くまでピンの位置あわせをして、セロテープを固定します。(写真8)ここで妥協をすると後で後悔しますので、じっくり時間をかけて位置あわせをしてください。位置が決まりましたら、フラックスを塗り、半田を端から乗せてゆきます。写真9のようにブリッジしても気にしないで半田付けをしてゆきます。一通り半田をつけたら、もう一度フラックスを塗りこてを端からこするように動かしてゆきます。そうすると半田がまとまってきてある程度ブリッジが取れてきます。とりきれない余分な半田を半田吸い取り線で取り除いてゆきます。半田吸い取り線はこてで暖めながら動かしてブリッジをとってゆきます(写真10)。完全に半田を取ってしまうとピンが浮いてしまったりして半田付けの意味がなくなりますので、適度に半田を残すことがポイントです。また、半田吸い取り線が基板やピンにくっついた場合は無理に引っ張らず、暖めながら動かす必要があります。無理をするとピンが曲がったりします。

 

写真7:トランジスタ(TO-9)TSSOP ピンのピッチの違いがよくわかります。

 

写真8TSSOP部品をセロテープで固定する。ピンの位置あわせはじっくり納得の行くまで調整

 

写真9TSSOPのピンにブリッジしても気にしないで半田を乗せる。フラックスをたっぷり塗りこてを当ててゆくと半田のブリッジがとれてゆくので、半田吸い取り線を使って余分な半田を取り除いてゆく。

 

写真10:余分な半田を取り除いた後のTSSOP部品 半田を取りすぎるとピンが浮き上がったりするので適度に残すのがポイント

 

TSSOPIC2つありますので、2つとも同じ方法で取り付けます。次はSOP部品ですが、こちらはTSSOPの約倍のピン間隔ですので、TSSOPの後にやると簡単に感じます。同じ方法でやれば確実ですが、慣れてくるとセロテープなしでもできるようになると思います。一番端のピンのランドに少しハンダを盛り、ICの位置決めをします。位置が決まったら、ピンセットでICを押さえ、こてをあてて盛った半田を溶かしてピンをつけます。対角線のピンも同じようにつけたらフラックスを塗って他のピンの半田付けをします。SOPであればブリッジすることなく半田付けできると思います。ブリッジした場合はTSSOPの時と同じように半田吸い取り線で余分な半田を取り除きます。写真11のように全てのICを取り付けます。SOPICには、1番ピンを示すマークが無いものがいくつか使われています。この場合、図1を参考に1番ピンを見つけてください。

1 SOP ICのピン配置

 

写真11:全てのICを取り付けた様子

 

チップ部品の半田付けとその他部品

ICの半田付けが終わったら、チップ部品を半田付けします。基板と回路図に描かれていて、実際には実装されない部品がいくつかありますので、部品が無いからといってあわてないでください。下記が実装されない部品です。組み立て解説Webページの実装写真を見ると良くわかります。

実装しない部品

C20, 21, 22, 31, 50, 53

L5, 6, 7, 8, 9, 11, 12, 25, 27, 31

R5, 14

U$6, 2(J310)

 

チップ部品は、片側のランドに少し半田をのせて置き、フラックスを塗ってから、乗せた半田を溶かし、そこへピンセットでつまんだ部品を運びます。そうすると引き込まれるように部品がうまく収まります。反対側は、部品をピンセットで押さえながら普通に半田付けします。ここでこての温度が低いと、写真12のようにぼてっとしてしまうので、ちょうど良い温度が探せると効率が良くなります。あまった半田は半田吸い取り線で取ります。

ピンセットで部品を強くつかむと飛びますのでお気をつけください。私も2つ飛ばしてなくしてしまいました。また、リード付のインダクターも強度的に弱くすぐにリードが取れてしまいますので無理な力がかからないようにしてください。

写真12 こての温度が低いとぼてっとした感じになる

 

OSCの向きがわかりにくいですが、文字が正しく見えるように置いたときに、左下が1番ピンとなります。全ての部品を取り付けたら半田付け不良などを念入りにチェックします。

 

ソフトウェアの準備とケーシング

PCと接続する前に、PC側にソフトウェアのインストールを行います。次の順番でインストールすると良いようです。1)3)は製作説明のWebページからダウンロードもしくはダウンロードページへのリンクがあります。

1) USBコントロールのドライバ(FTDIドライバ)

2) .NET Framework (私はVersion3.5 SP1を導入しました)

3) Soft66ADHコントロールソフト

そして、これらに加え、お気に入りのソフトウェア・ラジオを入れておきます。Rocky, SDadio, M0KGK SDR Decoder, Winrad, Sodiraなど数多くのソフトウェア・ラジオ・プログラムが公開されています。それぞれ、対応しているモードや機能が異なりますので、お気に入りのソフトウェアを見つけてください。私は、Rocky3.6Sodira0.75を好んで使用しています。

Soft66ADHUSBポートをパソコンのUSBポートに、I/Q をパソコンのマイク端子につないで、アンテナを接続します。Soft66ADHのアンテナ端子はSMAになっているので、写真13のようなSMA-PM-J変換コネクタがあると便利です。

USBポートをつないだら、コントロールソフトを導入したときにできる、スタートメニュー−>全てのプログラム”DDS_34”にある、DDS_34を起動します。写真14の画面が立ち上がってきますので、右側のLMHボタンのHを選択してから受信周波数を設定します。ソフトウェア・ラジオを立ち上げ、ワッチ開始となります。うまく受信できない場合は、組み立て解説Webの最終ページを読んでチェックします。

このSoft66ADHは、タカチのMX2-8-7GSにぴったり入るサイズに基板が作られていて、パネルにコネクタの穴を開けるだけで綺麗にケーシングすることができます。写真15がケースに入れて手に持った状態ですが、非常にコンパクトです。

 

写真13  SMA-PM-J変換コネクタ 秋月電子で販売している

 

写真 14 DDS34 Soft66ADH コントロールソフト。右側のLMHHを選択してから操作する

 

写真15 ケースに入れたところ 非常にコンパクトに仕上がっている

 

使用感ほか

私は以前、三浦さんの著書「CQ 出版 ソフトウェア・ラジオの実験」の付録基板でソフトウェア・ラジオに初めてチャレンジしてみました。ソフトウェア・ラジオの仕組みを理解するのにはうってつけの書籍教材だとおもいます。今回のキットは、付録基板の回路に比べると格段に性能が良く、DDSにより聞くことができる周波数範囲がAMラジオ帯から6mまでを連続でカバーしているなど比べ物にならない位高機能なものです。ソフトウェア・ラジオの基本的な仕組みを理解することで、更に発展的な使い方や応用が思いつくことと思いますので、単に組み立てて見るのにとどまらず、動作を理解することにチャレンジされることをお勧めいたします。

 

 

Soft66ADHキットの入手先:

ハムスクエア http://hamshop.jpn.org/catalog/product_info.php?products_id=197

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作成日:2011.03.19 

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